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毎日新聞 9月27日(木)10時32分配信
なじみが薄かったり日本の気候に合わなかったりするものも多い中国発祥の「二十四節気」。誰にでも分かるよう「日本版二十四節気」作りに取り組んでいた日本気象協会が方針を転換し、解説作りにとどめることを決めた。俳句界や日本語研究者などから寄せられた「歴史的、文化的意義を無視しないで」という反発の声を考慮した。代わりに日本人の季節感を表す言葉30個程度からなる「季節のことば」を公募して編成し、定着を図りたい考えだ。
協会が昨年全国4000人に実施した調査では、二十四節気で最も認知度が高かったのは冬至の93.3%。これに春分、秋分、夏至を加えた「二至二分」はいずれも9割を超えた。一方、小満(しょうまん)(5月21日ごろ)5%、清明(せいめい)(4月5日ごろ)7.7%など認知度が2割に満たないものも八つあった。
二十四節気発祥の地・黄河中流域は大陸性気候で、海洋性気候の日本より早く季節が変わる。気象庁の前田修平エルニーニョ情報管理官の解析によると、日本の東北は同緯度の黄河中流域と比べ、季節の変化の始まりが半月〜1カ月遅い。立春が日本では真冬の2月4日ごろ、立秋が真夏の8月8日ごろとなっているのはこのためだ。
そこで協会は昨年、名称を変更したり、時期をずらしたりすることも視野に入れ、日本版を作成するとホームページなどで公表した。すると一般からも「二十四節気は日本の農業とも密接に関わっている」と電話がかかるなど批判が殺到。これを受け、二十四節気それぞれに簡潔な解説を付ける方向に転換した。例えば草木が天地に満ち始める時期とされている小満に「若葉の季節」と言い添えることなどを想定している。
一方で「季節のことば」の公募を開始。例として、菜の花が咲く頃の春雨「菜種梅雨」などが挙げられるという。
協会の専門委員会委員を務める俳人の長谷川櫂(かい)さんも方針転換に賛成の立場で「暑い時期から秋の気配を探るような日本人の繊細な季節感は『ずれ』の上に育まれてきた。二十四節気を変えるのは合理的だけれど、その根源をなくすことになる」と話している。
「季節のことば」の応募方法は同協会の特設ホームページ「暦の上では」(http://24setuki.com/entry/)で。【池田知広】
★二十四節気 太陰太陽暦で正しく季節を示すために設けられた指標。「二十四気」「節気」とも言う。太陽の動きに基づいて1年を24等分し、それぞれに名称が与えられた。黄河中流域が発祥の地とされる。
■2012年の二十四節気
春 立春(りっしゅん)2月4日
雨水(うすい) 2月19日
啓蟄(けいちつ) 3月5日
春分(しゅんぶん)3月20日
清明(せいめい) 4月4日
穀雨(こくう) 4月20日
夏 立夏(りっか) 5月5日
小満(しょうまん)5月21日
芒種(ぼうしゅ) 6月5日
夏至(げし) 6月21日
小暑(しょうしょ)7月7日
大暑(たいしょ) 7月22日
秋 立秋(りっしゅう)8月7日
処暑(しょしょ) 8月23日
白露(はくろ) 9月7日
秋分(しゅうぶん)9月22日
寒露(かんろ) 10月8日
霜降(そうこう) 10月23日
冬 立冬(りっとう) 11月7日
小雪(しょうせつ)11月22日
大雪(たいせつ) 12月7日
冬至(とうじ) 12月21日
小寒(しょうかん)1月6日
大寒(だいかん) 1月21日
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